【助動詞】る・らる
こんにちは、ウノです。
今回は助動詞のる・らるについての解説です。
①接続
未然形
ただし、四段・ナ変・ラ変(つまり未然形がア段)の時は「る」、それ以外の活用の時は「らる」になる。
②活用
(可能・自発は命令形なし)
※「れ給う」「られ給う」 → 絶対に「尊敬」ではない。「自発」か「受身」
※「仰せらる」 → 「尊敬」
③意味
⑴受身
=される。
「〜に」(英語の受動態のby〜)がある、または補えるとき。
⑵尊敬
=なさる。
尊敬すべき人物の動作につける、数多く登場する。
敬語動詞の下についた「る・らる」は、尊敬になることが多い。
⑶可能
=できる。
下に打ち消し、反語を伴う。平安時代中心の規制。
⑷自発・・・入試では多い
=自然に・・・する気になる。
上に「心情語、感性語(知覚動詞)」「『思ふ』『知る』に類する語」「『泣く』『しのぶ』『見る』」がある時。
《例》
中宮ほほ笑まれ給う → 自発 ⇨ 【訳】中宮は自然とかすかにお笑いになられた。
④その他
※古文では、無生物が主語になっている受身の文は少ない。
※自発は「つい〜する」という意味なので、上につく動詞がかなり限られる。
また、主語が一人称の場合が多い
※打ち消し文の場合は自発はありえない。 → 可能
《例》
つゆまどろまれず・・・(源氏・桐壺) → 【訳】全く眠ることもできず・・・
日本の古文と文字の知識
こんにちは、ウノです。
今回は日本の古文と文字の知識について、解説していきたいと思います。
①歴史的仮名遣い
⑴語頭以外のハ行音 → ワ行音
あはれ → あわれ
うぐひす → うぐいす
にほふ → におう
答へて → 答えて
歴史的仮名遣いで断然多いのがハ行音
⑵ゐ・ゑ・を → い・え・お
ゐなか(田舎) → いなか
まゐる(参る) → まいる
こゑ(声) → こえ
をかし → おかし
をとこ(男) → おとこ
⑶ぢ・づ → じ・ず
恥ぢて → 恥じて
まづ → まず
しづか → しずか
⑷・・・む → ・・・ん
ありけむ → ありけん
やらむ → やらん
⑸母音が「au・iu・eu → o・yu・yo」
まうす(申す) → もうす
やうやう → ようよう
かうし(格子) → こうし
にうわ(柔和) → にゅうわ
てうし(調子) → ちょうし
⑹くわ・ぐわ → か・が
くわし(菓子) → かし
にぐわつ(二月) → にがつ
②現代語と意味の違いのある古語
現代語にはない意味があるもの、意味がずれているものなど。
《例》
( 言葉 )【 意味 】《 現代語での意味 》
(あからさま)【ついちょっと。一時的に】《ありのまま。ろこつ》
(あやし)【不思議だ。粗末だ。身分が低い】《不審だ。疑わしい。》
(ありがたし)【滅多にない。難しい。関心だ】《感謝したい。》
(いたづら)【無駄だ。役に立たない】《人を困らせる悪さ。》
(うつくし)【心が惹かれる。可愛らしい。立派だ。美しい】《綺麗だ。麗しい》
(おもしろし)【趣が深い。風流だ。愉快だ】《滑稽だ。興味がわく》
(かなし)【愛おしい。心を惹かれる。見事だ】《悲しい。嘆かわしい》
(なさけなし)【思いやりがない。風流でない。残酷だ】《嘆かわしい。残念だ》
(はづかし)【きまりが悪い。こちらが恥ずかしくなるほど相手が立派】《面目無い》
(むつかし)【不快だ。気味が悪い。恐ろしい】《困難だ。面倒だ》
(めでたし)【素晴らしい。滅多にない。目新しい】《滅多にない。未経験だ】
(やうやう)【段々に。次第に】《やっとのことで。かろうじて》
(やさし)【辛い。優美だ。関心だ】《なさけ深い。思いやりがある》
(わろし)【みっともない。よくない】《正しくない。良くない》
・・・他
③敬語
⑴尊敬
(おはす)【いらっしゃる・おいでになる】
(のたまふ)【仰る・お言いになる】
(おぼす)【お思いになる・お考えになる】
(たてまつる)【召し上がる・お食べになる】
⑵謙譲
(きこゆ)【申し上げる】
(たまはる)【いただく・頂戴する】
(まゐる)【参上する・出仕する・伺う】
(まかる)【退場する】
(はべり・さぶらふ)【あります・お仕えする】
(さうらふ)【おります】
⑶丁寧
(はべり・さぶらふ・さうらふ)【あります・ございます】
④省略
特に助詞・主語がよく省略される。適切に補って意味を掴む。現代語訳するときも省略語を補って訳す。
◎助詞
・「は・が・き」の省略が多い
色々の玉の橋(を)渡せり。
世の中になき花の木ども(が)立てり。
◎主語
・筆者自身が主語のときはほとんどが省略される。
・前に出た人物が主語のときもよく省略される。
【例】
九月二十日の頃、ある人にさそはれ奉りて、明くるまで月見歩くこと侍りしに、おぼし出づる所ありて...。
《現代語訳》
九月二十日の頃、【私は】ある人にお供をさせていただき、夜明けまで月を見て歩くことがありましたが、【その方は】思い出されたところがあって...。
⑤日本語の文学
(四〜五世紀 漢字漢文の伝来)
中国から朝鮮半島を経由して、漢字が日本に伝わる。
漢字を使い、文章は全て漢文で書いた。
(五〜七世紀 万葉仮名の発明)
漢字を使って日本語の文が書けるようになった。
(奈良時代 万葉仮名の発明)
日本語の文で、歌謡・伝説などが記録された。
↓「万葉集」
漢字の意味とは関係なく、漢字の音だけで日本語を示す万葉仮名で書かれている。
(平安時代 平仮名・片仮名の発明)
漢字を崩して書いた仮名の発明によって、日本語が自由に書き表わせるようになった。
物語、日記、和歌などが盛んに書かれ、漢字仮名交じり文も完成した。
↓「源氏物語」
万葉仮名をくずしてできた平仮名で書かれている。仮名ははじめは女性専用の文字だった。
(鎌倉・室町時代 和漢混交分の発達)
和文と漢字訓読調を組み合わせた文章が軍記物語などに用いられる。
(明治時代 原文一致運動)
話し言葉と書き言葉の統一を目指す運動。書き言葉は漢文体や候文〈そうろうぶん〉(「御案内申上候《ゴアンナイモウシアゲソウロウ》」といった文章)が使われていた。
以上で、「日本の古文と文字の知識」の解説を終わります。
お疲れ様でした。
係り結びの法則について
こんにちは、ウノです。
今回は、係り結びについて解説して行こうと思います。
①係り結びの法則
系助詞「ぞ」「なむ(なん)」「や」「か」「こそ」があると、文末が終止形にならない
「ぞ」「なむ(なん)」「や」「か」 → 連体形で結ぶ。
「こそ」 → 已然形で結ぶ。
②意味
「ぞ」「なむ(なん)」「こそ」 → 強調、強意(訳には出さない)
【例】地獄にこそ行け。
〈訳〉◎地獄に行く。
×地獄に行け。 → 命令形ではない。
「や」「か」 → 疑問、反語(「か」という訳語が出る)
訳の設問になっている場合は、反語であることが多い。
【訳】どうしてだろうか、いや〜ない。
反語とは、疑問の形を使って文中に言うことなく、反対の意味を暗示すること。
したがって、反対の意味を補って訳すべきである。
③「もぞ」「もこそ」
「ぞ」「こそ」の上に「も」が付くと、
「・・・するといけない、・・・すると困る、・・・したら大変だ」
という言葉を加えて訳す。
《例》
雨もぞふる。 → 【訳】雨が降ると困る。雨が降ったら大変だ。
④「こそ・・・已然形」で文が終わらないで、「、」でさらに下に文が続くとき
→逆接の意を加えて訳す。
↓
〜けれども・が、
◎係り結び 補充
⑴係り結びの《流れ》
文中に助動詞があって、その係助詞の結びとなるはずの語の下に、(主に)接続助詞がついてしまい、係り結びが行われないこと。「結びの《消滅》」「結びの《消去》」とも言う。
例えば、
梅の花なむ咲きける。
の場合、「なむ」の結びは「ける」と連体形で結んでいるが、そこに接続助詞が付いて下に文が続いてしまうと、
梅の花なむ咲きけれど、君はいまだ来ず。
となって、「けれ」は下についた已然形接続の助詞「ど」のために已然形になってしまう。
これを「結びの《流れ》」と言う。
また、例えば
梅の花こそ咲きけれど、君はいまだ来ず。
の場合は、「こそ」の結びで「けれ」が已然形になっていると言えそうだが、それは違う。
この場合も、下についた「ど」が上の「けれ」を已然形にしているのであって、「結びの《流れ》」である。
⑵結びの《流れ》を起こすのは、ほとんど接続助詞
というのにも注意。
⑶係り結びの《省略》
係り結びの結びの語を含む部分が省略されてしまうこと。
例えば、
昔、男、女ありけり。男はこの女をこそと思ひけり。
の場合、「女をこそ」の下に、「得め」(「め」は意思の助動詞「む」の已然形)のような表現が本当はあるはずだが、省略されている。
これを「係り結びの《省略》」と言う。
《代表例》
〜こそ → こそあれ。
↓
(省略されている語)
{〜や。 or 〜か。} → {〜やあらむ。 or 〜かあらむ。}
⑷係助詞「や」と「か」の違い
A「や」
① 活用語に付くときは、主に終止形に付く。連用形に付くこともある。
《例》
思ひきや。(「き」は過去の助動詞の終止形)
思ふにやあらむ。(「に」は断定の助動詞「なり」の連用形)
②他の疑問語とともに用いられることは少ない
《例》
山にや登るべき
B「か」
①活用語に付くときは、主に連体形に付く。こちらも連用形に付くこともある。
《例》
思ひしか。(「し」は過去の助動詞「き」の連体形)
②他の疑問語とともに用いられることが多い。
《例》
いづれの山にか登るべき
以上で、係り結びの法則についての解説を終わります。
お疲れ様でした。
形容詞と形容動詞
こんにちは。ウノです。
今回は、形容詞と形容動詞について解説をしていきたいと思います。
形容詞
①終止形は必ず「〜し」の形で終わる。現代語の場合は「〜い」。
②「し」を除いた部分が語幹。
③「ク活用」と「シク活用」のに種類がある。
④「なる(動詞 ラ行四段)」に続けて、「〜くなる」はク活用。「〜しくなる」はシク活用。
下に助動詞が来る時は、左の列の活用(から、かり、、、・しから、しかり、、、)の方を使う。
ただし、断定の助動詞「なり」は必ず右側の列の活用につく。
形容動詞の後の本活用の連用形「く」+係助詞「は」=仮定条件(もし〜ならば)
未然形はほとんど用いられない。したがって、未然形接続の助詞(「で」など)は、左側列に付くことが多い。
入試に関しては、未然形の「く」は覚えない方が良い。
◎形容詞の語幹用法(和歌のみで使われる用法)
〔体言〕+(間投助詞「を」)+〔形容詞の語幹〕+接尾語「み」
↓
【訳】・・・が〜ので
《例》瀬をはやみ → 【例】川(の流れ)が速いので
形容動詞
形容動詞は入試ではどれほど重要ではありません。
①終止形は「〜なり」または「〜たり」で終わる。
②「なり」または「たり」を除いた部分が語幹。
③「〜なり」がナリ活用、「〜たり」がタリ活用。
↓
あまり出てこない
ナリ活用形容動詞は、現代語で「〜な」と言える。
《例》 「静かなり」 → 「静かな」
〜げなり ・ 〜げに → 形容動詞
他に 〜かに・〜かなり・〜らかなり・〜やかなり・〜らなり → 形容動詞
以上で、形容詞・形容動詞の解説を終わります
お疲れ様でした。
古典の基本! 動詞の原則について
こんにちは、ウノです。
今回は、「動詞」についてお話ししていきたいと思います。
①基本用語
⑴活用・・・下に来る語によって、語尾が変化すること。
⑵語幹・・・活用の、変化しない部分。
⑶活用語尾・・・活用の、変化する部分。
古典の問題を解く上ではもはや常識ですね。
必ず頭に入れておくようにしましょう。
②活用形
活用形というのはいわば活用のパターンのようなもので、動詞を活用するときには次の六つに分類されます。
⑴未然形・・・打点「ず」などが下に来る
⑵連用系・・・「用言・たり・て」などが下に来る
※用言とは、動詞・形容詞・形容動詞のことです。
⑶終止形・・・「。」で終わる語
⑷連体形・・・下に体言が来る
※体言とは、名詞のことです。
⑸已然形・・・「ども」などが下に来る
⑹命令形・・・命令をするとき
③活用の種類の見分け方
⑴カ行変格活用(カ変)・・・「来〈ク〉」一語。
⑵サ行変格活用(サ変)・・・「す」一語。「おはす」もサ変。
※「(音読みの)漢字+す」→サ変の複合同士であることが多い
⑶ナ行変格活用(ナ変)・・・「死ぬ」「住ぬ・去ぬ〈読みはどちらもイヌ〉」二語
⑷ラ行変格活用(ラ変)・・・「あり」「居り〈オリ〉」「侍り」「いまそかり」四語
⑸上一段活用(上一)・・・「着る」「見る」「似る」「煮る」「射る(ヤ行)」
「鋳る(ヤ行)」「干る」
「居る(ゐる)」=ワ行上一。場所に存在する。座る。
「率る(ゐる)」=ワ行上一。連れて行く。持っていく。
⑹下一段活用(下一)・・・「蹴る」一語。
◎他には、下に「ず(ない)」をつけて、
「書く」→書かず(ア段)→四段活用(四段)
※「書けず」とは言わない。古文には可能動詞が存在しません。使役同士が少しあり
ます。
「起く」→起きず(イ段)→上二段活用(上二)
「受く」→受けず(エ段)→下二段活用(下二)
④活用
例として、「蹴る」を活用してみましょう。
になります。
活用の種類は「カ行下一」です。
「◯」は語幹と語尾の区別がないという意味です。
この時、「蹴る」の語幹は「け」にはなりません。
このようになってしまうと、未然形は「けけ」だけになってしまいます。
また、未然形から命令形まで、全ての活用にわたって現れるのは「け」の「カ行」ですから「カ行動詞」となります。
上一段 → I・I・IRU・IRU・IRE・IYO
四 段 → A・I・U・U・E・E
上二段 → I ・I・U・URU・URE・IYO
下二段 → E・E・U・URU・URE・EYO
↓
現代語と全く違う!
〈例〉
⑤注意すべき動詞
⑴ヤ行上二段・・・「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」三語
⑵ワ行下二段・・・「植う」「飢う」「据う〈スウ〉」三語
⑶1字の下二段・・・「得」「経」「寝」三語
※「寝」・・・「寝る時」は「ねる」ではなく「ぬる」と読まなければならない。
⑷ア行の動詞・・・「得」一語 他に複合動詞で「心得〈ココロウ〉」「所得〈トコロウ〉」がある。
⑸ザ行の動詞・・・「交(混)ず」(下二段)一語
⑹「飽く」・・・カ行四段。飽かず。他に、借らず・足らず(四段)
⑺「恨む」・・・マ行上二段。恨みず。他に、忍びず(上二段)、恥ぢず(上二段)
⑥活用の種類の見分け方
まず、「少ない六種類」に入っているかを見ます。
入っている場合は「上一段」「下一段」「カ変」「サ変」「ナ変」「ラ変」のどれかです。
入っていない場合は、語尾に「ず」をつけてみます。
a「ず」 になったら 四段
i 「ず」 になったら 上二段
e「ず」 になったら 下二段
になります。
下についている語などから何形で使われているのかを考えて、各種の活用の種類の活用表に当てはめて類推すると良いです。
以上で、動詞の解説を終わります。
お疲れ様でした。
古典の先生、初めての記事
こんにちは。
今日からブログを始めます、「ウノ」と申します。
現在30代(細かい年齢は伏せておきます)で、某中高一貫校で国語の教師をしています。
三度の飯より職場が好きな社畜ならぬ学畜(?)で、国語に関してもそれなりの期間教えてきたと自負しています。
学生の頃は、「国語」はおろか「勉強」「学校」自体に意味を見いだせていなかった時期がありました。
しかし現在は、先生としても、また国語を教える身としても、研究を続けています。
このブログを作ろうと思った理由として、主に古典の苦手な学生さんの力になれればと思ったからです。
このブログでは、いわゆる動詞とか助詞とか活用などの、古文の基礎から多くの学生がぶつかるような難しいところまで、中高古典の解説をしていきたいと思います。
No.1の古典教師を目指して!
よろしくお願いします。m(__)m