日本の古文と文字の知識
こんにちは、ウノです。
今回は日本の古文と文字の知識について、解説していきたいと思います。
①歴史的仮名遣い
⑴語頭以外のハ行音 → ワ行音
あはれ → あわれ
うぐひす → うぐいす
にほふ → におう
答へて → 答えて
歴史的仮名遣いで断然多いのがハ行音
⑵ゐ・ゑ・を → い・え・お
ゐなか(田舎) → いなか
まゐる(参る) → まいる
こゑ(声) → こえ
をかし → おかし
をとこ(男) → おとこ
⑶ぢ・づ → じ・ず
恥ぢて → 恥じて
まづ → まず
しづか → しずか
⑷・・・む → ・・・ん
ありけむ → ありけん
やらむ → やらん
⑸母音が「au・iu・eu → o・yu・yo」
まうす(申す) → もうす
やうやう → ようよう
かうし(格子) → こうし
にうわ(柔和) → にゅうわ
てうし(調子) → ちょうし
⑹くわ・ぐわ → か・が
くわし(菓子) → かし
にぐわつ(二月) → にがつ
②現代語と意味の違いのある古語
現代語にはない意味があるもの、意味がずれているものなど。
《例》
( 言葉 )【 意味 】《 現代語での意味 》
(あからさま)【ついちょっと。一時的に】《ありのまま。ろこつ》
(あやし)【不思議だ。粗末だ。身分が低い】《不審だ。疑わしい。》
(ありがたし)【滅多にない。難しい。関心だ】《感謝したい。》
(いたづら)【無駄だ。役に立たない】《人を困らせる悪さ。》
(うつくし)【心が惹かれる。可愛らしい。立派だ。美しい】《綺麗だ。麗しい》
(おもしろし)【趣が深い。風流だ。愉快だ】《滑稽だ。興味がわく》
(かなし)【愛おしい。心を惹かれる。見事だ】《悲しい。嘆かわしい》
(なさけなし)【思いやりがない。風流でない。残酷だ】《嘆かわしい。残念だ》
(はづかし)【きまりが悪い。こちらが恥ずかしくなるほど相手が立派】《面目無い》
(むつかし)【不快だ。気味が悪い。恐ろしい】《困難だ。面倒だ》
(めでたし)【素晴らしい。滅多にない。目新しい】《滅多にない。未経験だ】
(やうやう)【段々に。次第に】《やっとのことで。かろうじて》
(やさし)【辛い。優美だ。関心だ】《なさけ深い。思いやりがある》
(わろし)【みっともない。よくない】《正しくない。良くない》
・・・他
③敬語
⑴尊敬
(おはす)【いらっしゃる・おいでになる】
(のたまふ)【仰る・お言いになる】
(おぼす)【お思いになる・お考えになる】
(たてまつる)【召し上がる・お食べになる】
⑵謙譲
(きこゆ)【申し上げる】
(たまはる)【いただく・頂戴する】
(まゐる)【参上する・出仕する・伺う】
(まかる)【退場する】
(はべり・さぶらふ)【あります・お仕えする】
(さうらふ)【おります】
⑶丁寧
(はべり・さぶらふ・さうらふ)【あります・ございます】
④省略
特に助詞・主語がよく省略される。適切に補って意味を掴む。現代語訳するときも省略語を補って訳す。
◎助詞
・「は・が・き」の省略が多い
色々の玉の橋(を)渡せり。
世の中になき花の木ども(が)立てり。
◎主語
・筆者自身が主語のときはほとんどが省略される。
・前に出た人物が主語のときもよく省略される。
【例】
九月二十日の頃、ある人にさそはれ奉りて、明くるまで月見歩くこと侍りしに、おぼし出づる所ありて...。
《現代語訳》
九月二十日の頃、【私は】ある人にお供をさせていただき、夜明けまで月を見て歩くことがありましたが、【その方は】思い出されたところがあって...。
⑤日本語の文学
(四〜五世紀 漢字漢文の伝来)
中国から朝鮮半島を経由して、漢字が日本に伝わる。
漢字を使い、文章は全て漢文で書いた。
(五〜七世紀 万葉仮名の発明)
漢字を使って日本語の文が書けるようになった。
(奈良時代 万葉仮名の発明)
日本語の文で、歌謡・伝説などが記録された。
↓「万葉集」
漢字の意味とは関係なく、漢字の音だけで日本語を示す万葉仮名で書かれている。
(平安時代 平仮名・片仮名の発明)
漢字を崩して書いた仮名の発明によって、日本語が自由に書き表わせるようになった。
物語、日記、和歌などが盛んに書かれ、漢字仮名交じり文も完成した。
↓「源氏物語」
万葉仮名をくずしてできた平仮名で書かれている。仮名ははじめは女性専用の文字だった。
(鎌倉・室町時代 和漢混交分の発達)
和文と漢字訓読調を組み合わせた文章が軍記物語などに用いられる。
(明治時代 原文一致運動)
話し言葉と書き言葉の統一を目指す運動。書き言葉は漢文体や候文〈そうろうぶん〉(「御案内申上候《ゴアンナイモウシアゲソウロウ》」といった文章)が使われていた。
以上で、「日本の古文と文字の知識」の解説を終わります。
お疲れ様でした。